サトウキビの食べ方
高床式住居が続く風景 雲南省 西双版納 Ganranpa(字がない、、、)にて
 最早日本からは姿を消してしまったが、中国の多くの町でサトウキビは売られている。
 僕の時代には既になく、中国で初めてサトウキビを食べた。
 初めは食べ方も買い方も知らず、人のを観察する事から始めた。
 中国の人は本当にサトウキビが好きで、老若男女を問わず深く愛されている。
 サトウキビを買うとその場で外の硬い皮を削ってくれる。
 まだ残っている外の硬い部分を前歯を使って剥がしにかかるが、その時にも外した皮の内側にある甘い部分をかじってしゃぶる。
 かじった後のカスはその場でペッペと吐いて捨てるのが常識。
 内側の柔らかい部分だけが残ったら、ダイナミックにかじりついて口の中でモグモグとやればいい。
 サトウキビの甘さが口いっぱいに広がる。
 食べ終わると辺り一面がサトウキビの食べカスだらけになる。
 シンガポールでサトウキビが禁止された訳が分かる気がする。
 でもそんなことは中国では誰も気にしない。
 電車やバスの車内だったら構わず外に捨てればよい。
 サトウキビを食べている人はまるで猿。
 これが人間の本当の姿なのかも。
 人の食べるのを観察していると僕も食べたくなり、町でサトウキビを買った。
 サトウキビは一本単位で売られていて重さを量って金額を計算する。
 どれも二メートル以上の長いもので、買うとその場で四つに切ってくれる。
 僕は中でも一番太いのを選んで金額を聞くと、おばさんが分銅を吊るした秤で重さを量り、一元五角(約二十円)という。
 外国人だからといって高く吹っかけたりしないところが嬉しかった。
 それにしても安い。これ一本で四人がお腹いっぱいになる量だ。
 おばさんは長いサトウキビを刃物でがりがりと削り、外の硬い皮を外し、四等分してくれる。
 削りだしたばかりのサトウキビを左手に三本右手に一本持って、かじりながら町を歩けばもう心は中国人。
 食べカスをペッペと吐き散らしながら歩く感触がたまらないほど気持ちよかった。
 短く切ったもの一本でもズッシリしていて、それだけでおなかがいっぱいになってしまう。とても一人で二メートル分は食べられない。
 中国人はサトウキビを売っている露天の前で、誰か一緒に買う人を二三人探してから一本を買うのだ。
 四川省の緑色のサトウキビはちょっと竹臭い感じだったが、雲南省の紫色のサトウキビは臭みがなく、甘味が強くて特においしかった。
 下手なお菓子よりもずっとおいしい。
 東京でも買えればいいのに。


平成7年6月
竹田恒泰