ワインの作り方

甘口ワインと辛口ワインの作り分けを理解すると地球の環境問題が見えてくる。読者はワインの作り方をご存知だろうか。ワインは原料であるブドウに微生物である酵母菌を加えて樽の中で発酵させて作る。我々が、できあがったワインを飲む頃には、樽の中にいたはずの酵母菌は全員死滅してしまっている。実はその酵母菌の死に方の違いによってワインは甘口になったり辛口になったりするのだ。

投入される酵母菌は微生物であり、ブドウに含まれる糖分を食糧としている。酵母菌はワインに含まれる糖分を食べて、オシッコをする。そしてそのオシッコこそが将にアルコールであり、我々がほろ酔い加減でワインを飲んでいるということは、酵母菌のオシッコに酔っていることになる。一億総勢で飲尿療法をやっているようなものである。アルコールが抜けない人はオシッコ中毒に他ならないし、アルコール依存症はオシッコ依存症ということになる。

そして、酵母菌の死に方の違いによって、できあがるワインが甘口になったり、辛口になったりするのだ。酵母菌が食糧である糖分を全て食べ尽くしてしまった場合、他に食べるものがないため、残念なことに酵母菌は一匹残らず餓死する。結果としてそのワインは糖分が少ない辛口のワインとなる。

ところが、酵母菌の必要とする糖分が枯渇する前に、別の原因で酵母菌が死滅することがある。それがもう一つのシナリオだ。樽の中で酵母菌のオシッコの濃度が高くなると、これは酵母菌にとって過酷な環境になってくる。つまり酵母菌は、自らの体に有害であるアルコール分をオシッコとして体外に排出しているのであって、時間とともに樽の中のアルコール濃度が一定以上になると、酵母菌が生存できなくなる。糖分を食べ尽くす前に、このような環境の悪化で酵母菌が死に絶えた場合、まだ糖分が残っているので、そのワインはアルコール度が若干高い甘口のワインになる。

辛口ワインは「資源の枯渇」によって自滅した結果であり、甘口ワインは「捨て場の枯渇」つまり環境汚染によって自滅した結果なのだ。この酵母菌と同じ運命を辿ろうとしているのが我々人類であるということに気付いて頂けただろうか。

環境問題というと、さまざまなトピックが挙げられるが、実は大きく分けて「資源の枯渇問題」と「捨て場の枯渇問題」に分けられ、この二種に尽きる。そして、ここで問題になる、枯渇して困る「資源」とは主に化石燃料のことを示し、また「捨て場」とは、決して自然界が分解することができない、化石燃料の使用に伴って生じる廃棄物の捨て場に限定されることに気付いただろうか。

我々人類は、地球という船に乗り合わせた仲間である。そしてこの船には、限られた資源、そして限られた捨て場所しか存在していない。資源が枯渇した時、もしくは捨て場が枯渇した時に人類は深刻な危機を迎えることになる。 人類は化石燃料との付き合い方を見直し、化石燃料に依存する社会構造を変えない限り、この呪縛から解き放たれることはない。

竹田恒泰
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