紙の再生最先進国

日本の紙はすごい。
和紙の技術が優れていただけでなく、江戸時代から既に古紙の再利用が徹底されていた。 現在、製紙業界全体に1年間で原料として投入されているバージン・パルプと古紙の比率はおおよそ1対1であるが、なんとこの比率は江戸時代から変わっていない。 これは、つまり江戸時代から古紙の利用が現在と同レベルに既に達していたことを意味している。 現在、われわれが目にする紙という紙は、ほぼすべてが再生紙であり、バージン・パルプのみで作られた紙は紙パックとカラーコピー紙くらいのものである。 同じく、江戸時代も、紙といえば再生紙を意味するほど、古紙の利用が民衆レベルにまで行き渡っており、使用済みのトイレットペーパーも漉(す)き返して再生していたほどで、当時としては他の国にそのような例はなく、紙の再生について日本は世界的に最先進国であった。

ところが、ここ十数年の間に環境ブームの影響で紙の回収運動が巻き起こり、多くの企業は再生紙を使用していることを執拗(しつよう)に誇示するようになった。 昔から紙は再生紙と相場は決まっていて、それをわざわざ威張るのは筋違いも甚だしい。 そもそも紙を大量に使うことこそが環境負荷であり、再生紙を使うことが環境の保護者であるかのような態度は誤解を生む。 案の定、民衆は紙の回収運動に熱を注ぎ、紙の消費量を下げる努力は忘れられた。 10年間で紙の消費量、パルプの投入量は共に上昇を続け、日本は1人当たりの紙消費量が世界平均の5倍という紙消費大国になってしまった。 しかも古紙の投入率を高めることが一概に良いとはいえない。 回収自体にも多量の燃料が投入され、工場でも漂白剤や石油、その他資源を消費し、廃棄物を出している。 手放しで「再生紙ならいくら使っても良い」とはならない。 私は名刺に「環境保全のために再生紙を使用していません」と表記し、竹から作った紙を使用している。 一見、普通の紙と同じで、竹は多すぎて困っているほどであり、日本の資源というにふさわしい。

竹田恒泰
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