環境怠国日本

国内にいると分からないが、一歩海外に足を踏み出すと日本がいかに特殊な国であるかを知ることができる。日本で当たり前のことが海外では桁外れの非常識だったりする。だから世界を旅して周るのは刺激が強くて面白いのだ。 例えば日本人はよく働く。でもそれですら珍しいこと。学生の時イエメンを旅して驚いたのは、その国では朝十時頃に店が開き始めたかと思えば、昼頃には街中の全ての店が閉まる。そして夜八時頃に再び店を開け、二時間後には再び閉めてしまう。ビジネスアワーは一日四時間しか存在していない。しかも公共の施設、官庁、銀行などは午前中だけ開いているので一日二時間だけの営業ということになる。一方、中国では残業は悪とされている。なぜなら、一部の人が残業をしてしまうと、その分失業者が出てしまうという。14億人に仕事を与えるためには残業はご法度なのだ。一層のこと日本も中国を見習って残業をなくしてみたらどうだろうか。最高の失業対策になるかも知れない。

ここで環境について考えてみよう。日本の環境対策の技術は世界的にも高水準である一方、日本全体で環境問題に対する意識は恥ずかしいくらいレベルが低い。例えば政府が規定する環境基準にしても、日本よりもタイの方が遥かに厳しいい基準を適用させている。意識の低さについては、「そんなことはない」と反論する人もいるだろうが、意識は高いように見えるだけで、その中身は空と指摘されても否定できない幼稚なものであったりする。そこで、日本の常識が世界の非常識と思われる点をいくつか指摘してみよう。 まずエネルギー問題。世界では「脱原発」は既に過去の話題となり、今は「脱石油」が熱いテーマとなっている。多くの国々が原発の新規設置を禁止する決定を下し、エネルギーの拠りどころを石油中心から非石油中心にシフトしようとしている中、今も原発を建設している国は先進国では日本だけである。それどころか、米国もフランスも撤退した「プルトニウム利用計画」を真剣に進めているのは世界中で日本だけである。

ダイオキシン問題にしても然りで、世界で最も多くのダイオキシンを排出しているのは日本。世界中の海で最もダイオキシンで汚染されているのは日本近海ということになる。これはダイオキシンの原因物質である塩素化合物の生産が世界一でありつつも、そのほとんどが焼却炉で燃やされているという実態が原因である。環境先進国ではダイオキシンの原因物質を生産しないこと、そして有害な廃棄物を抑えることが常識となっている。日本では焼却炉の性能だけが議論されてきた。 その他にも「環境保護活動」と称される活動の多くは、特定の企業に不当な利益を与え、特定の役人や政治家に利権を与えつつ、環境には何の貢献もせず、かえって負荷をかけるようなものが多いのが実態である。つまり「環境」はビジネスや政治に偽善的に上手く利用される傾向にある。 「環境」をただのブームに終わらせないために、形だけのイベントに終わらせないために、一人一人が環境問題に対する意識を高め、知識を深めることが大切。「無知は罪」ということで今月の話題を締めましょう。

竹田恒泰
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