知られざる食品廃棄物

いろいろな種類の廃棄物が存在するが、その中で最も「もったいないなぁ」と思われるのが「食品廃棄物」である。
この「食品廃棄物」とは、いわゆる残飯、賞味期限切れの食品を意味するのではない。
賞味期限内の立派な商品でありながら廃棄される食品のことをいう。
しかもこの「食品廃棄物」は食品を製造する工場から廃棄される。
食品として流通経路に乗り、問屋を通じて商店街の店頭に並べられ、近所のおばちゃんが手に取って「色が悪い」だの、「高い」だの、「いやな気が出ている」だの文句を付けられた後になって、売れないということで捨てられるのであれば、まだ話は分かる。しかし、「食品廃棄物」は作られて新品のまま捨てられるのであるから、同じ捨てられるにしてもその、もったいなさの度合いは究極を極める。
不戦敗しているのと同じである。
なぜそのような廃棄物が出てしまうかというと、これは食品メーカーの事情による。

つまり、高速道路が事故で不通になったり、大雪で交通網が麻痺したり、流通センターのシステムエラーで出荷作業が混乱したり、関連会社の社長が夜逃げしたりして通常どおりに出荷できなくなることがあるかも知れない。
その時のために普段から少し多めに商品を作っておくことで、いざという時に備えるのである。
例えば、ある卵加工業者は、一日に五千個の卵焼きを余剰生産し、全てを廃棄している。
ところで、年間を通じてどの位の「食品廃棄物」が出されるかというと、日本国内だけで、その数なんと年間二千万トンに上る。
日本の米の生産高が年間一千万トンを下回っていることから比べても、いかにこのムダな廃棄物が多いかが分かる。
新品の食品が廃棄される一方、本格的な冬を迎えた今も、全国で五万人を超える野宿生活者が寒さと餓えに苦しんでいることを考えると、社会の矛盾と言わざるを得ない。
この「食品廃棄物」は「作業廃棄物」に該当するため、メーカーは多額の経費を掛けてこれを処理している。
千葉県に富士福祉農場という農場がある。
ここでは無償で「食品廃棄物」の受入をやっており、毎日たくさんのトラックがこの新品の食品を満載して、日本全国からやってくる。
その廃棄物は極めて多種に及ぶ。
はんぺん、カマボコ、業務用のマスタード、まだ焼いていない冷凍の焼き鳥の串(冷凍だからわざわざ捨てる必要もないと思うが、、、)、あまつさえ、新品の缶ジュースからワインまである!
農場の倉庫は高級な食品庫となり、溢れてあちこちに野積みされるに至っている。
ここでは「食品廃棄物」を家畜の飼料に充てている。
つまり、牛や豚達は人間が食べる食品と同等の「食事」をしていることになる。
彼らより貧素な食生活を送る日本人は多いことだろう。
しかもこの「食事」は無償で食品メーカーから提供されている。
高級な食事をする家畜に囲まれているとなんだか変な気分になってくる。
今回はこの「食品廃棄物」に焦点を絞ったが、家庭やホテルで出される残飯の量たるや想像を絶する。
世界では10億人以上が栄養不足で苦しんでいることを考えると、忘年会や新年会で浮かれている日本人の姿は世界の恥じというべきだ。

平成14年12月15日