電気自動車は環境に優しいか

「電気自動車は環境にやさしいか」という命題に答えるには電気自動車そのものを知るよりも、むしろ電気をどのように作っているかを知る必要がある。

最近は環境ブームで環境に「よさそう」なものを次々と導入する空気が流れているが、その「よさそう」なものの中には「よさそう」なだけで実際には「よくない」ものが多々混ざっているのが事実である。 答えからいってしまえば、今の日本では電気自動車は環境に良くない。

なぜか。

確かに電気自動車からは排気ガスが出ていない。 無公害で走っているように見える。 でも実際はその電気を作るために石油、ガス、ウランが燃やされている。 ガソリンで走らせた場合と電気で走らせた場合を比べてみて同じ量の石油を消費するのであれば、その違いは排気ガスが出る場所の違いに留まる。 しかし、電気自動車は単純にガソリンで走らせるよりも多くの石油を必要としている。

日本では電気の大半が火力発電によってまかなわれている。 その燃料の違いによって、原油を燃やせば石油火力発電、液化天然ガスを燃やせばLNG火力発電、ウランを燃やせば原子力発電となる。 原子力発電が火力発電の一種だと聞いて驚く人もいるかもしれないが、発電の構造自体は一般火力と同じである。 つまり、各種燃料を燃やすことにより、お湯を沸騰させ、その蒸気でタービンを回すことで発電をしているのである。 そうやって作り出した電気で車を走らせるくらいならはじめからエンジンにガソリンをぶち込んで走らせたほうが効率がよい。 迂回生産、つまり経路が長くなれば長くなるほど効率が悪くなるのである。 発電所は電力を作り出しているのように見えるが、現実にはエネルギー転換をしているだけである。 燃料がもっているエネルギーを電力に転換している。 しかし、この転換効率は35%程度、つまり残りの65%は廃熱として環境に捨てられているのだ。 ガソリン車のエネルギー転換効率も35%前後であるから効率の点で大差はない。 電力はガソリン車同様、極めて効率の悪いエネルギーなのである。 さらに、電力は送電線ロス等を考慮するとガソリン車よりも効率は悪いことになる。 つまり電気で自動車を走らせたとしても、ガソリンで走らせた場合と比べ比較的多くの石油を消費してい計算になる。 確かに電気自動車は車体から排気ガスを出さないし、エンジン音も小さい。 ところが、その分発電所で排気ガスを出し、結果としてより多くの石油を消費していることを考えると「電気自動車は環境にやさしい」とは到底いえないのである。 電気自動車そのものが悪いのではなく、電力の作られ方に問題がある。

将来理想的な方法で電力が作られるようになれば、胸を張って電気自動車に乗ることができるだろう。 その日が待ち遠しい。