究極のグルメ

僕はおいしいものが好きである。衣食住では間違いなく“食”を優先させる。 僕はグルメを求めて世界を巡るのだ。 その中でいくつか究極といってよいグルメに出会うことができた。 おいしいとかまずいとかを論じるのはただの“グルメ”である。 “究極のグルメ”とは物事の極みであり、味の良し悪しの問題ではない。

【究極のグルメ―中国編】
僕は基本的に嫌いなものはないから、出されたものは何でも頂くことにしている。 これまでイナゴ、蜂の子から始まり蛇、ワニ、サソリ(蠍座なのにサソリを食べてしまった、、、そういえば兎年なのに兎も食べてしまった!) と難なくクリアしてきたのだが、中国でどうしても食べる事のできないグルメに出会った。 中国雲南省景洪で小学校の正門前の屋台で売られていたものがある。 何か黒っぽい唐揚げを児童達がむさぼるようにかじっている。 なんと、ゴキブリの唐揚げなのであった! しかもおいしそうに集団でかじっている。 僕は危うく失神しそうになりながらもその風景を注意深く眺めていた。 挑戦すべきか否か悩みに悩んだ挙句、辞退することにしたのだが、それにしても人間がゴキブリを食べてしまうというのは何といおうか、余りにも恐れ多いではないか。 勿論健康上の心配もあるが、我々人類の最も先輩と言われているゴキブリさん達をおやつとしてバリバリと食べてしまうのである。 飢えている人ならまだ分かる(いや、ゴキブリを食べて生きるくらいだったら死んだほうがましとも思えるが)。 彼等はお小遣いで嗜好品として食しているのであった。やはり中国人、スケールが違う。

【究極のグルメ―イエメン編】
イエメンのアルムッカラで僕は一人街頭に腰を下ろし行き交う人々を眺めていた。 その時、コーラの空き瓶と、半分に割れた蛍光灯を持った変な男がにやにやしながら僕に近づいてきて、隣にぴたっと座ったのだ。 気持ち悪いヤツだなと思いながら眺めていると、彼は僕の直ぐ隣で、半分割れて先のギザギザにとがった蛍光灯におもむろにかじりついたのである。 僕は「ギエー」とも「ギョエー」ともつかない奇声をあげて食い入るように見つめてしまった。 男は蛍光灯を食べている。それも一口ではない。次から次へとかじりつき、ついに手にしていた蛍光灯一本をたいらげてしまった。 相変わらずニヤニヤしながらもぐもぐとやっている。 よーく噛んでゴクンと飲み込んでしまった。 男はすごいでしょといいたそうな顔をしながら、口をあんぐりと開けて、全部飲み込んだことを僕に見せた。 昔「晴れ時々ぶた」という絵本で、お母さんが鉛筆をてんぷらにして食べてしまう話を読んだが、将にあのまんま。 人生で最も度肝を抜かされた瞬間であった。 話はそれで終わらない。 僕は次に何が起こるか知っていた。 そう! コーラの瓶である。奴はコーラを飲みたくてコーラを買ったのではない。 瓶を食べたくて買ったのだ。 奴は顔をくしゃくしゃにしながらあの硬い瓶を次々とかじり割り、鉄の胃袋に流し込んでゆく。 以来僕は何を見ても驚かない体になった。(この話は全て実話です。)